先日とある整形外科の先生(勤務医)から,
「医者の数が足りないよ.もっと医師の数を増やさないと今後高齢化が進むと大変だよ」というぼやきをききました笑.
確かに総合病院の整形外科に勤務していると,外来は患者さんであふれ,手術件数も多いです(汗).
ところが,医師全体の労働環境を眺めるてみると,まったく別の光景が見えています.
少し,客観的なデータをみてみましょう.
興味深い資料をご紹介します.ぜひご一読を.
まず歯科医師数の推移について
歯科医師の絶対数,人口10万人あたりの歯科医師数が漸増していることがわかります
次に医師数の推移について
医師の絶対数,人口10万人あたりの医師数ともにかなりのスピードで増加しています.
(過去30年以上一貫して)
国民人口に関しては,皆さんご承知のとおり,今後かなりのペースで減少します.
我が国の総人口は、今後、長期の人口減少過程に入り、2026年に人口1億2,000万人を下回った後も減少を続け、2048年には1億人を割って9,913万人となり、2060年には8,674万人になると推計されている
上記をまとめてみると
・医師の絶対数,人口10万人あたりの医師数は過去30年間,常に増加し続けている
・今後分母にあたる国民人口はかなりのスピードで減少する
そう考えると,今後かなり早い段階で医師過剰時代に突入する未来が垣間見えます.実は,すでに一部の診療科,地域では,医者は余り始めているのではないでしょうか?
「少子高齢化で働き手が少なくなる」というフレーズを聞くことがありますが,この考えをそのまま医師の労働環境に当てはめることは適切ではありません.
ご存知のとおり,現在では理系のトップ集団の進学先が医学科に一極集中しています.
今後若者の絶対数は減少していますが,医学科が定員割れすることはまずないでしょう.
医学科の統廃合が一時期議論されましたが,今のところ統廃合は進んでおらず,先日は国際医療福祉大学が新設されました.
ここで重要なこととして,医師や歯科医のライセンス(国家資格)は,需要供給でバランスをとる仕組みにはなっておらず,「事実上の医者余り」の状況になった後も,医師は毎年一定の数がどんどん量産されていきます.
今後医者の数が飽和する未来について,少し対策を考える必要がありそうですね.